TOP講演会>2008/1/16


現代アジア研究センター公開講演会(同志社大学政策学部共催)

「東アジア経済統合と経済協力の役割」

2008年1月16日(水) 10:45~12:15
同志社大学新町キャンパス 臨光館301教室
入場無料・事前申込不要

<講師>
木村福成 氏(慶応大学経済学部教授)

<司会>
阿部茂行教授(同志社大学政策学部教授・現代アジア研究センター長)




日本をとりまく国際環境に詳しく,FTA戦略や貿易構造についての的を射たコメントで知られる慶応大学木村福成教授に, 「東アジア経済統合と経済協力の役割」というタイトルで学生に分かるように懇切丁寧に話をしてもらった。400名入る教室は 立ち見が出るほどの盛況ぶりで,一般参加者も含め熱心に興味深い話に耳を傾けた。



木村教授は伝統的な国際貿易の理論が現在の東アジアの貿易を説明できない,すなわち,比較優位の理論では資本が豊富な国は 資本集約財を輸出するはずだが,いまやフィリピンやインドネシアでさえ,機械や機械部品を輸出しているという事実を示した。 多国籍企業が東アジア全体で工程間分業を行っており,東アジア全体に位置する生産ブロック間で機械・機械部品の取引を行っている ためである。こうした発展のおかげで,電気・電子産業に関してはほぼ関税ゼロになってきていて,事実上の経済統合が成立している。



こうした認識のもと,日本の経済協力はどうあるべきか?木村教授はこの点でもユニークな視点を提供してくれた。 生産ネットワークをコアに据え,発展局面に応じて協力政策を変えろというのである。カンボジアをはじめとした貧困国には 近隣の集積からの分散力を利用し,生産ネットワークに参加できるよう,サービス・リンク・コストを引き下げるよう協力せよ。 次の発展レベルのフィリピン等には,上流・下流企業の一括誘致,地場企業が生産ネットワークに参加できるよう協力せよ。 タイ等には集積の高度化,人的資源開発などが重要,そして最後に日本等は空洞化を回避し,新たな産業の創出に努力すべきとする。 こうした議論の根底には木村教授の新しい「東アジアモデル」という認識があることをつけ加えておこう。

講演の後,フロアから質問もでた。驚いたことに,質問のため数名が列をなし30分以上も木村教授をとり囲んだ。 如何に話が面白かったかの証である。


講演資料(pdfデータ)

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