TOP講演会>2006/7/5

現代アジア研究センター公開講演会(同志社大学政策学部共催)
「コース流開発経済学」
2006年7月5日(水) 

<スピーカー>
James Roumasset教授(ハワイ大学)


現代アジア研究センターは政策学会との共催のもと、ハワイ大学のJames Roumasset教授を招いて「コース流開発経済学」という演題で、7月5日に講演会を開催した。コースの取引コストに着目した考え方を導入すると、開発経済学はどのように展開できるかが話の中心であり、ことに農業経済学への応用は示唆にとみ、世界の第一線で活躍している教授の力量が窺えた。

 50年代のビッグプッシュ、60、70年代の介入主義、80年代のワシントンコンセンサス、90年代のスティグリッツ流介入主義へと戦後の開発経済学は展開した。このプロセスを開発経済学は振り子が左から右へと振れるように行ったり来たりしていると、介入主義から自由主義、そしてまた介入主義へと遷ってきている様をうまく説明した後、しかし、最後の介入主義は少し違うと主張、政府が民間企業を後押しするファシリテーターとしての役割を強調する、言い換えれば、市場の役割を促進する介入主義が一番注目されているというものであった。

より具体的には農業における小作について、大農地より小農地の生産性が高いのは何故かという問題は、コース流の考え方を取り入れると大農地の方が取引コストが高いゆえと明快に説明がつく。経済開発における農業の重要性はいくら強調しても足りない。実際、農業を1%成長させると、貧困は3ないし4%削減することも可能という。こうした議論から、結論として、日本の産業政策がそうであったように民間でうまくいったところに補助金を与え、価格をコントロールすることはやめて、貧困を直視した政策、すなわち、農業のR&Dとインフラ整備に政府は力を注ぐべきであると主張した。それに加えて、民間の経済協力をやりやすくするように政府はそのファシリテーターとしての役割が期待されるとした。

 パワーポイントで示された図表はわかりやすく、英語での講演にもかかわらず、参加者は十分理解ができたようだ。一流の学者から開発経済学の最先端を聞けたことは刺激的であった。





配布資料
"Coasean Development Economics"
"A New Institutional Approach to Pro-Poor Agricultural Development: Lessons from Asia"


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